どんぐりゴマ「じょうずだね」  主山しのぶ


私が会に参加して2回目の事(1989年)。初秋の頃で木の下にまだ若い緑のどんぐりがちらほら落ちていた。それをコマにして回すとおもしろいことを発見した子ども達は拾っては回し、どんな形をしているとよく回るかなどと話していた。そのうち木についているものにも興味が出てきたらしく、大きな子は背伸びをして、小さな子は抱っこされて枝についているどんぐりをとっている。
森さんに「とってごらん」と枝を差しのべられて、貴和子もひとつ手にとった。私は1歳4か月の娘に、日頃なにげなく言っているように「じょうずだね」と言った。すると森さんは「僕は『じょうずだね』という言葉は使わないようにしている」けげんそうな顔をしている私に、その理由として「子どもは『じょうずだね』といわれると、それ以上向上しようという意欲がなくなるから」と言われた。そして「『できてよかったね』と言うだけだよ」と。
自分が日常どんなに言葉を薄っぺらに使っているか、考えさせられた印象深い出来事だった。

後日、悦子さんにこの話をしたら、「それは子どもが大人の評価を気にすることにもつながる言葉だから。という意味も含んでいたのではないか。」と言われまたまたウ〜ンと考えさせられた。

<補足>2000年9月10日 森 章より

「向上しようという意欲がなくなる」のではなく
外的評価で動くようになってしまう」ということを言ったつもり。

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どんぐりゴマ「じょうずだね」<余談>

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