ブランコ 〜個から始まる社会性〜
1998 主山 しのぶ


あれは、娘(現在小6)が2歳の頃だったと思います。
森さんが吊ってくれたロープのブランコはその日も人気で、子どもたちは列を作って順番待ち。
私は、娘の番になって少し楽しんだなあと思った頃に「ほら、〇〇ちゃんが待っているよ。もう下りよう」と半ば強制的に下ろしてしまいました。
不満そうな顔の娘。その頃は一人っ子だった娘に、協調性や社会性を身につけさせたいと思っていました。
また、信仰のあった母から「他人の喜ぶ顔を見て、自分の幸せにしなさい」と私自身が幼い頃から教えられたことをさして考えもせず無条件に「美徳」ととらえていた面があったこともありました。
ところが、その時森さんから
「自分自身が心から楽しんだことがない人は、他人の楽しみを心から大切にしようとは思わない」
と言われました。
子どもがのびのびしていないことが多かったり、かんしゃくを起こしたりすることに悩んでいた私にとって、それはとても大きい一言でした。
その後その言葉は、自分にしみついたものを見つめなければいけない時にくりかえし思い出すほど貴重な重みを持ちました。
そして、今また「個」の尊重と「社会性」のつながりを考える時にもこのことを考えます。



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