僕にも出来た!
<下根にて>

2003.3.27 鈴木彩子


子供達に下根でとても人気がある“二輪車”。普通お馴染みなのは、鉄の箱状の荷台にタイヤが1つの“一輪車”ですが、この“二輪車”はタイヤが2つで安定感が有り、荷台もアルミの格子状になっているので軽量で、子供でも扱いやすいものです。

薪や荷物を乗せて運ぶのは勿論、子供達も交代に乗ったり押したり、二輪車の回りはいつも賑やかです。一颯はそんな様子を時にはじぃーっと見つめ、時には子供達の歓声にあわせて一緒に『キャーッ』って歓声をあげて嬉しそうに見ていました。

最近はひっくり返っている二輪車に近寄ってタイヤを回したり、荷台にまたがったりするようになり、そして今日も同じように遊んでいました。
「あーっ!一颯君が二輪車押してるよ!!」誰かの声がしました。
『まだ歩けない一颯(1歳2ヶ月)が?ウソ!?』と思い、振り返って見ると、両腕を左右に目一杯伸ばしてハンドルを握り締め一歩また一歩と押して進んで来るではありませんか!
皆の視線が一颯に向けられているのも分かっている様子で、『ヤッターッ!やっと僕にも出来たんだぞー!皆見てくれ!』一颯の表情がそう言っているようでした。
こぼれんばかりの満面の笑み、凄く得意そうな顔!とにかく凄くイキイキした表情で、この顔はこれから先も忘れる事は無い印象的なものでした。
こんな一颯を、この小さな“初めて出来た”を皆で共有出来た事が、嬉しさをまた倍増させました。

この日参加していたしのぶさんが、「ハンドルを持って始め動いた時は、あれ?って顔をしていたんだよ」って教えてくれました。
『こんな風にやっていたなー』って、真似していたら本当に動いて、『あれ?これって・・おや!?』って思った顔だったのでしょう。この表情も見てみたかったです。

大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんがやっている所をずーっと見ていて、『楽しそうだな、僕もやってみたいな』って思い続けていたのでしょうね・・本当に強く! この日二輪車を放しませんでしたから・・。一時琉ちゃんの手に渡ったものの、帰る間際5時過ぎまでずーっと一颯は押し続けていたのです。

生後2ヶ月から参加している一颯。4ヶ月の時『見たい!見たい!』とベビーカーから身を乗り出して、見ようと一生懸命だった一颯に、初めて『こんなちっちゃい赤ちゃんでも、これだけの好奇心・観察心を持っているものなんだ』と気付き、このような長時間の外遊びの場でも、赤ちゃんだって一緒に遊べないけれど十分楽しんでいる・・ということを身をもって感じました。
その好奇心と観察の結果が、今日の“二輪車”だったのですね。あの笑顔・・あの表情・・涙が出そうな位感動的なものでした。


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